知星図 — システムエンジニアリングの語彙を星図でたどる
何かを理解するために、先にどの語彙を知っておくとよいのか。235の技術用語を、前提知識の系譜でつないだ星図です。 上の星をたどるほか、下の一覧からも各語彙の解説へ進めます。
基礎
- 2進数0と1の2種類の数字で数を表す方法。コンピュータのすべての情報表現の土台。
- OSハードウェアを抽象化し、アプリケーションに実行環境を提供する基盤ソフトウェア。
- アルゴリズム問題を解くための明確な手順。同じ問題でも手順の選び方で計算の速さが桁違いに変わる。
- シェルコマンドでOSを操作する対話環境。プロセス起動とパイプによる小さな道具の組み合わせが本質。
- データ構造データの並べ方・つなぎ方の型。操作の速さを決める、アルゴリズムと対をなす基礎概念。
- GPU大量の単純計算を並列実行するプロセッサ。描画専用から機械学習の主役へと役割を広げた。
- オブジェクト指向データとそれを操作する手続きをオブジェクトにまとめて設計する考え方。カプセル化・継承・ポリモーフィズムが柱。
- カーネルOSの中核としてハードウェアを直接管理し、プロセスにCPU・メモリ・IOを配分する特権プログラム。
- コンパイラ人間が書いたコードを機械が実行できる形へ翻訳するプログラム。インタプリタと対をなす。
- スタックとヒーププログラムがメモリを使う2つの領域。寿命が明確なスタックと自由だが管理が要るヒープ。
- スレッドプロセス内部の実行の流れ。メモリを共有しながら並行に動作する。
- ビット演算数値をビットの列とみなして行うAND・OR・XOR・シフトなどの演算。低レイヤ処理の道具。
- ファイルシステムブロックデバイスの上に「名前付きの階層とファイル」という抽象を築く仕組み。永続化の土台。
- プロセス実行中のプログラムを表すOSの管理単位。独立したメモリ空間を持つ。
- 計算量とO記法入力が増えたとき処理時間や使用メモリがどう伸びるかを表す記法。性能の共通言語。
- 再帰関数が自分自身を呼び出し、問題を同じ形の小さな問題に分割しながら解く技法。木構造の処理と相性がよい。
- 正規表現文字列のパターンを小さな記法で表現し、検索・抽出・置換を行う道具。ほぼすべての言語とツールに載っている。
- 値渡しと参照渡し関数へ値のコピーを渡すか、同じ実体への参照を渡すかの区別。共有された参照が思わぬ書き換え事故を生む。
- 浮動小数点小数を仮数と指数で近似表現する方式。0.1+0.2が0.3にならない理由はここにある。
- 文字コード文字と数値の対応規則。ASCIIからUnicodeへ至る歴史が文字化けの正体を説明する。
- 例外処理想定外の失敗を通常の流れから分離して扱う仕組み。伝播と回復の設計がプログラムの頑健さを決める。
- CPUキャッシュCPUと主記憶の速度差を埋める小容量高速メモリ。局所性を活かすと桁違いに速くなる。
- イベントループ1本のループがイベントを順に処理する並行モデル。少数スレッドで大量のIO待ちを捌く定石。
- イミュータビリティ一度作った値を書き換えず、変更を新しい値の生成で表す方針。共有と並行処理に強いコードの土台になる。
- ガベージコレクション不要になったヒープ領域を自動で回収する仕組み。メモリ安全と停止時間のトレードオフ。
- クロージャ関数が定義された場所の変数環境を捕まえたまま持ち歩く仕組み。状態の隠蔽やコールバックの土台になる。
- ジェネリクス型をパラメータ化し、型安全なまま多様な型で使い回せる部品を書く仕組み。コレクションで特に威力を発揮する。
- システムコールアプリがカーネルの機能を借りるための唯一の正式な窓口。ファイルも通信もこの呼び出しの先にある。
- スケジューラ限られたCPUをどのプロセス・スレッドに割り当てるかを決める仕組み。公平さと応答性を両立させる。
- デッドロック互いに相手のロック解放を待ち合って全員が永遠に止まる状態。成立には4条件が揃う必要がある。
- メモリ階層レジスタからストレージまで、速さと容量のトレードオフで階層化された記憶の構造。
- 仮想メモリ各プロセスに連続した専用メモリ空間があるように見せかける仕組み。隔離と物理メモリ以上の割り当てを可能にする。
- 割り込みハードウェアや事象がCPUの実行を中断して通知する仕組み。ポーリングせずに反応できる計算機の反射神経。
- 関数型プログラミング副作用を抑え、純粋関数の合成としてプログラムを組み立てる様式。宣言的で予測しやすいコードを目指す。
- 型システム値の種類を検査してプログラムの誤りを実行前に見つける仕組み。静的か動的か、強いか弱いかの設計軸がある。
- 排他制御共有資源に同時に触れるのを1人に制限する仕組み。ミューテックスやセマフォで競合状態を防ぐ。
- 並行と並列複数の処理を扱う2つの考え方。切り替えて進める並行と、同時に実行する並列の区別。
ネットワーク
- IPアドレスネットワーク上の機器を一意に識別する住所。通信の宛先指定の基礎。
- ポート番号1台の機器の中で通信の窓口を区別する番号。IPアドレスが住所ならポートは部屋番号。
- DHCPネットワークに参加した機器へIPアドレス等の設定を自動配布するプロトコル。
- DNSドメイン名をIPアドレスに変換する、インターネットの電話帳。
- HTTPWebの通信プロトコル。リクエストとレスポンスの往復でできている。
- MACアドレスネットワーク機器に割り当てられた物理識別子。同一ネットワーク内配送の宛先。
- OSI参照モデル通信を7つの階層に分けて整理する古典的な思考の枠組み。「L4」「L7」の語源。
- SMTP電子メールをサーバー間で中継して届ける仕組み。送信ドメイン認証で迷惑メールと戦う。
- TCP/IPインターネット通信の基本プロトコル群。確実にデータを届ける仕組みの土台。
- UDP到達保証を捨てて速度を取った軽量プロトコル。動画配信やDNSで活躍。
- VPN公衆網の上に暗号化された仮想的な専用線を作る技術。拠点間・リモート接続の定番。
- ファイアウォール通信をルールに基づき許可・遮断する防壁。ネットワーク境界防御の基本装置。
- レイテンシとスループット応答の速さと単位時間の処理量。混同されがちな性能の2軸を区別する基礎概念。
- ARPIPアドレスからMACアドレスを解決するプロトコル。同一ネットワーク内配送の橋渡し。
- CDN世界中に配置したエッジサーバからコンテンツを配信し、速度と負荷を改善する仕組み。
- HTTP/21本のTCP接続に複数のやり取りを多重化し、HTTP/1.1の待ち行列問題を解いた改訂版。
- HTTPSTLSで暗号化されたHTTP。現代のWebでは事実上の必須要件。
- MQTT非力な機器と不安定な回線のために作られた軽量pub/sub型メッセージングプロトコル。
- NATプライベートIPとグローバルIPを変換する仕組み。IPv4アドレス枯渇への現実解。
- SSH暗号化された安全な遠隔操作チャネル。サーバ運用とGit操作の足回り。
- TLS通信を暗号化するプロトコル。公開鍵暗号で鍵を交換し、共通鍵で高速に暗号化する。
- WebSocketブラウザとサーバの双方向・常時接続を実現するプロトコル。
- ソケットプログラムからネットワーク通信を行うためのOSが提供する抽象。
- フォワードプロキシクライアントの代理で外部へ接続する中継サーバ。出口の統制とキャッシュを担う。
- リバースプロキシサーバの前段に立ち、リクエストを受けて後ろへ中継する仲介サーバ。
- ルーティングパケットを宛先まで届ける経路を選択する仕組み。ネットワークをまたぐ通信の要。
- ロードバランサリクエストを複数のサーバへ分散する装置。可用性とスケーラビリティの要。
- BGPインターネットの経路情報をAS間で交換するプロトコル。世界規模の道案内。
- HTTP/3とQUICTCPを捨てUDP上に再構築したQUICで、接続確立と隊列閉塞の限界を超えた最新のHTTP。
- WebRTCブラウザ同士が直接つながり音声・映像・データを送り合うP2P通信の標準技術。
Web
- CSSWebページの見た目を記述する言語。セレクタで要素を選び、スタイルを当てる。
- HTMLWebページの構造を記述するマークアップ言語。Webの最も基本的な構成要素。
- JSONキーと値の組でデータを表す軽量フォーマット。API通信の共通語。
- URLWeb上のリソースの場所を表す文字列。スキーム・ホスト・パスからなる。
- APIプログラム同士が機能をやり取りするための約束事。システム連携の基本単位。
- Cookieブラウザに保存される小さなデータ。ステートレスなHTTPに状態を持ち込む。
- DOMHTMLをプログラムから操作できる木構造として表現したもの。動的なWebページの土台。
- JavaScriptブラウザで動く唯一の言語として生まれ、今やサーバまで覆うWebの共通語。
- Webhookイベント発生時にサーバー側からHTTPで通知してもらう「逆向きのAPI」。ポーリングをなくす。
- アクセシビリティ障害や環境の違いによらず誰もがWebを使えるようにする設計。HTMLの意味づけが出発点。
- セッションログイン中のユーザーの状態をサーバ側で保持する仕組み。Cookieと対で機能する。
- トランスパイル新しい構文や別言語のコードを、ブラウザが実行できるJavaScriptへ変換すること。
- バンドラ多数のモジュールを配信用に束ねて最適化するビルドツール。モダンフロント開発の裏方。
- GraphQLクライアントが必要なデータの形を宣言して取得するAPIのクエリ言語。過不足取得を解消する。
- gRPCスキーマ定義から各言語のコードを生成し、HTTP/2上で高速に呼び合うRPCフレームワーク。
- PWAWebサイトをネイティブアプリのように使えるようにする技術群。オフラインや通知に対応する。
- REST APIリソースをURLで表し、HTTPメソッドで操作するAPI設計の様式。
- Server-Sent EventsHTTP接続を開いたままサーバーから一方向にイベントを流し続けるシンプルなプッシュ技術。
- Service Workerページとネットワークの間に入るプログラム可能なプロキシ。オフライン対応とキャッシュ制御の要。
- SPAページ遷移をJavaScriptで行い、アプリのような操作感を実現するWebの構成。
- SSGビルド時にHTMLを生成しておく方式。配信が速く、サーバが不要。
- SSRHTMLをサーバ側で生成して返す方式。SPAの初期表示・SEO問題への回答。
- WebAssemblyブラウザでネイティブ並みの速度で動くバイナリ形式。JSの補完としてWebの限界を広げる。
- ブラウザレンダリングHTML・CSSが画面のピクセルになるまでの過程。この理解が表示速度の最適化を支える。
- リアクティビティデータの変化を自動で検知してUIへ伝播させる仕組み。宣言的UIを支えるもう一つの柱。
- 仮想DOMUIの状態をメモリ上の軽い木で持ち、差分だけを実DOMへ反映する更新戦略。Reactが広めた。
- 状態管理画面に散らばる状態を一元管理し、UIの複雑さを予測可能に保つフロントエンド設計の要。
データベース
- ETL散在するデータを抽出・変換して分析基盤へ集めるデータパイプラインの基本形。
- RDBMS表形式でデータを管理し、SQLで操作するデータベース。業務システムの中核。
- SQLリレーショナルデータベースへの問い合わせ言語。宣言的にデータを取り出す。
- データウェアハウス分析のために大量データを蓄積する専用データベース。業務DBとは設計思想が根本から異なる。
- ACIDトランザクションが保証する4性質 — 原子性・一貫性・分離性・永続性。
- N+1問題一覧の取得に件数ぶんのSQLが余計に発行され、件数に比例して遅くなる典型的な性能問題。
- NoSQL表形式にとらわれないデータベースの総称。スケーラビリティや柔軟さを優先する。
- OLTPとOLAP大量の小さな更新を捌く業務処理と、巨大なデータを集計する分析処理という2つの負荷特性の区分。
- ORMプログラムのオブジェクトとDBの表を対応づけ、SQLを書かずにDBを操作する道具。
- インデックス検索を高速化するデータ構造。本の索引にあたる、性能設計の第一歩。
- コネクションプール接続を使い回すために確保しておく仕組み。接続確立のコストと数の上限を制御する。
- スキーママイグレーションデータベースの構造変更を版管理されたコードとして扱い、どの環境でも再現可能にする仕組み。
- データレイク加工前の生データを形式を問わずそのまま貯めておき、用途が決まってから読み解く貯蔵庫。
- トランザクション複数の操作を「全部成功か全部なかったことに」とまとめる整合性の仕組み。
- ベクトルデータベース埋め込みベクトルを格納し「意味が近いデータ」を高速に検索する専用データベース。
- レプリケーション同じデータを複数のノードに複製し、可用性と読み取り性能を高める仕組み。
- 実行計画SQLをどんな手順で実行するかをデータベースが立てる作戦書。遅いクエリ調査の出発点。
- 正規化データの重複をなくすようテーブルを分割する設計技法。更新時の不整合を防ぐ。
- 全文検索文章を語に分解して索引化し、キーワードで大量の文書から高速に探し出す検索の仕組み。
- WAL変更をまずログへ追記してからデータ本体に反映することで、障害後も確実に復旧できる仕組み。
- シャーディングデータを分割キーで複数ノードに水平分割し、単一ノードの限界を超えて格納・処理する手法。
- ストリーム処理流れ続けるイベントを溜めてから処理するのではなく、到着するそばから継続的に処理する方式。
- トランザクション分離レベル並行するトランザクション同士が互いの途中経過をどこまで見せ合うかを定める段階的な基準。
- マテリアライズドビュー重い集計クエリの結果を実体として保存し、読み取りを速くする代わりに鮮度を管理する仕組み。
- 楽観ロックと悲観ロック競合の起きやすさに応じて「先に塞ぐ」か「後から検知する」かを選ぶ同時更新の制御手法。
- 結果整合性更新が即座に全体へ反映されなくても、いずれ全レプリカが同じ値に収束するという整合性モデル。
セキュリティ
- APIキーAPI呼び出し元を識別する簡易な資格情報。手軽さと漏洩リスクが表裏一体。
- ハッシュ化データを固定長の値に不可逆変換する処理。パスワード保存と改ざん検知の要。
- 暗号化データを鍵なしには読めない形に変換する技術。通信と保存の安全の基礎。
- 最小権限の原則必要最小限の権限だけを与えるという原則。被害の範囲を権限の範囲に閉じ込める。
- 脆弱性攻撃に悪用されうるソフトウェアの欠陥。CVEで番号づけされCVSSで深刻度が評価される。
- 多要素認証知識・所持・生体の異なる要素を組み合わせる認証。パスワード漏洩だけでは破られない。
- 認可「あなたに何をする権限があるか」を判断するプロセス。認証の次に来る。
- 認証「あなたは誰か」を確認するプロセス。認可と対で語られる。
- CORS異なるドメイン間の通信をブラウザが制限・許可する仕組み。フロント開発の頻出壁。
- CSP読み込めるリソースをHTTPヘッダで宣言しXSS被害を抑える、ブラウザの防御機構。
- CSRFログイン済みユーザーに意図しないリクエストを送らせる攻撃。Cookieの自動送信を悪用する。
- DDoS攻撃多数の機器から大量のトラフィックを送りサービスを停止させる攻撃。防御は多層で行う。
- IdPユーザーの身元を一元管理し他サービスへ証明する認証の元締め。
- JWT署名付きでユーザー情報を運ぶトークン。サーバに状態を持たない認証を可能にする。
- OWASP Top 10Webアプリの重大リスクを10項目に整理した定番リスト。セキュリティ対策の共通言語。
- RBAC権限をロールにまとめて割り当てるアクセス制御モデル。権限管理の実務標準。
- SameSite属性クロスサイトのリクエストにCookieを載せるかを制御する属性。CSRF対策の第一線。
- SQLインジェクション入力文字列にSQLを紛れ込ませ、意図しないクエリを実行させる攻撃。
- SSO一度のログインで複数サービスを利用できる仕組み。企業の認証体験の標準形。
- WAFHTTPリクエストを検査して攻撃パターンを遮断する防壁。アプリの手前に置く防御層。
- XSS攻撃者のスクリプトを他人のブラウザで実行させる攻撃。Web最頻出の脆弱性。
- サービスアカウント人間でなくプログラムに与えるID。自動化時代の認証・認可の主役。
- シークレット管理APIキーやパスワードなどの秘密情報を安全に保管・配布・ローテーションする仕組み。
- ペネトレーションテスト攻撃者の視点でシステムに実際に侵入を試み、防御の穴を実証的に洗い出す検査。
- レート制限一定時間あたりのリクエスト数を制限する仕組み。乱用と過負荷からAPIを守る。
- 公開鍵暗号公開鍵と秘密鍵のペアを使う暗号方式。鍵を安全に共有できない問題を解決した。
- mTLSサーバーだけでなくクライアントも証明書で身元を示す相互認証TLS。サービス間通信の守り。
- OAuthパスワードを渡さずに権限を委譲する標準。「Googleでログイン」の裏側。
- OIDCOAuth 2.0の上に認証を載せた標準。「◯◯でログイン」を支えるプロトコル。
- SAMLXMLベースで認証情報を連携する標準。企業向けSSOを長年支えるプロトコル。
- サプライチェーン攻撃依存ライブラリやビルド基盤など開発の供給網を汚染し、間接的に標的へ届く攻撃。
- ゼロトラスト「境界の内側は安全」を捨て、すべてのアクセスを毎回検証するセキュリティモデル。
- リフレッシュトークンアクセストークンを再発行するための長寿命トークン。安全と利便の折衷案。
アーキテクチャ
- サーバリクエストを受けて応答するコンピュータまたはプログラム。クライアントと対をなす。
- MVCアプリをモデル・ビュー・コントローラの3役に分けるUIアーキテクチャの古典パターン。
- キャッシュ一度取得・計算した結果を再利用のために保存する仕組み。速度改善の常套手段。
- タイムアウト応答を待つ時間に上限を設ける仕組み。無限に待たないことが連鎖障害を防ぐ第一歩。
- 12 Factor Appクラウドで運用しやすいアプリの12の設計原則。Heroku発、コンテナ時代の共通前提に。
- APIゲートウェイ多数のAPIの手前に立つ単一の入口。認証・流量制御・ルーティングを一手に引き受ける。
- グレースフルデグラデーション全部が無理なら一部だけでも動かし続ける設計。完全停止ではなく品質を落として生き残る。
- サーキットブレーカー障害中の依存先への呼び出しを一時遮断するパターン。失敗の連鎖をブレーカーで断つ。
- スケーリング負荷の増大にシステムの処理能力を追随させること。垂直と水平の二方向がある。
- バルクヘッドリソースを区画に分け、一部の障害が全体の資源を食い潰さないようにする隔離パターン。
- マイクロサービス機能ごとに独立したサービスへ分割する構成。チームの自律性と引き換えに複雑さを負う。
- モノリス全機能をひとつのアプリケーションとして構築する構成。単純さが最大の武器。
- リトライと指数バックオフ失敗した処理を間隔を広げながら再試行する定石。無邪気なリトライは障害を増幅する。
- 分散システム複数のコンピュータが協調して一つの系として振る舞う仕組み。規模と可用性を得る代わりに部分故障と非同期の難しさを抱える。
- 冪等性同じ操作を何度実行しても結果が変わらない性質。再送が避けられない分散系で信頼性の要になる。
- CAP定理分断耐性のある分散システムは、一貫性と可用性を同時には完全に満たせないという定理。
- CQRS書き込み(コマンド)と読み取り(クエリ)のモデルを分離し、それぞれを独立に最適化する設計。
- イベントソーシング現在の状態ではなく、状態変化を起こしたイベントの列を真実として保存する設計。
- サーガ複数サービスにまたがる処理を、各ステップの補償処理で整合させる分散トランザクションのパターン。
- サーバレスサーバの管理をクラウドに委ね、コードだけを持ち込む実行モデル。
- ドメイン駆動設計業務領域の言葉とモデルを中心に据える設計手法。複雑なドメインをコードに写し取る。
- バックプレッシャー処理が追いつかないとき受け取り側が上流に減速を伝える仕組み。溢れる前に絞る。
- メッセージキュー処理の依頼をいったん行列に積み、非同期に処理する仕組み。システム間の緩衝材。
- 分散ロック複数ノードから同時にアクセスされる資源に、分散環境で排他制御をかける仕組み。
- 合意アルゴリズム一部が故障しても、分散した複数ノードが単一の値に合意するためのアルゴリズム(Raft, Paxos)。
インフラ
- SLAサービス提供者が顧客に約束する品質水準の契約。違反時の補償まで含む合意。
- クラウドコンピューティング計算資源を所有せず、必要な分だけネットワーク越しに借りる利用形態。
- ヘルスチェックサービスが正常かを定期的に確認する仕組み。切り離しと復帰の自動化の土台。
- ログシステムが残す出来事の記録。障害調査の一次資料であり、運用の目。
- 仮想マシン物理マシンの上にソフトウェアで作られた仮想のコンピュータ。クラウドの基礎技術。
- CI/CDテストとデプロイを自動化し、変更を小さく速く届け続ける開発の仕組み。
- SLOサービスの信頼性目標を数値で定めたもの。SLIという指標で測り、運用判断の基準にする。
- SREソフトウェアエンジニアリングの手法で運用を設計する職能・方法論。Google発祥。
- アラートメトリクスやログの異常を検知して人間へ通知する仕組み。監視を行動につなげる出口。
- インシデント対応サービス障害の検知から復旧までを組織的に進める活動。役割分担と手順で混乱を防ぐ。
- オンコール障害発生時に対応する担当者を輪番で決めておく体制。アラートの受け手を保証する。
- コンテナアプリと依存物を一式にまとめ、隔離して動かす軽量な実行環境。Dockerが代名詞。
- サイドカーアプリの隣に補助プロセスを並走させ、共通機能を言語非依存で後付けするパターン。
- ブルーグリーンデプロイ本番環境を2系統用意し、切り替えで新バージョンを公開するデプロイ手法。即時ロールバックが利点。
- ポストモーテム障害の収束後に原因と対応を振り返り、再発防止につなげる文書と文化。非難しないことが原則。
- メトリクスシステムの状態を数値の時系列として記録したもの。監視と可観測性の基本素材。
- 監視システムの健康状態を継続的に観測し、異常に気づける状態を保つこと。
- IaCインフラ構成をコードで記述し、再現可能にする実践。TerraformやCloudFormationが代表。
- Kubernetes多数のコンテナの配置・回復・スケールを自動化する運用基盤。宣言的運用の代表格。
- エラーバジェットSLOが許容する失敗の残量。信頼性とリリース速度のトレードオフを数値で裁く仕組み。
- カオスエンジニアリング本番相当の環境に意図的に障害を注入し、システムの耐障害性を実験で検証する手法。
- カナリアリリース新バージョンを一部のユーザーだけに公開し、問題がなければ徐々に広げるデプロイ手法。
- サービスメッシュサービス間通信の制御・保護・観測を、アプリの外側の専用層に切り出す基盤。
- 可観測性外部出力からシステム内部の状態を推測できる性質。監視を「未知の問い」に耐える形へ拡張する。
- 分散トレーシング一つのリクエストが複数サービスを横断する経路を、トレースとして追跡する可観測性の手法。
開発プロセス
- Gitコードの変更履歴を管理する分散型バージョン管理システム。現代開発の共通基盤。
- アジャイル開発短い反復で動くソフトウェアを届け、変化に適応する開発思想。2001年の宣言が起点。
- コードレビュー他者の目でコード変更を検査する営み。欠陥検出と知識共有を兼ねる開発文化の要。
- スクラムスプリントと役割・イベントを定めたアジャイルの代表的フレームワーク。経験主義が土台。
- テストコードが意図通り動くことを検証する営み。自動化して初めて資産になる。
- リファクタリング外部から見た振る舞いを変えずに内部構造を改善すること。テストが安全網になる。
- 技術的負債短期の速度と引き換えに将来へ先送りした設計・実装の劣化。利子のように開発を遅くする。
- 結合度と凝集度モジュール間の依存の強さと、モジュール内部のまとまりの良さ。設計品質を測る古典的な物差し。
- SOLID原則変更に強いオブジェクト指向設計のための5原則。クラス設計の判断基準を与える。
- デザインパターン繰り返し現れる設計課題への定石解に名前を付けたカタログ。設計の共通語彙になる。
- テスト駆動開発テストを先に書き、通す最小実装と改善を短く回す開発手法。設計を駆動するのが本質。
- フィーチャーフラグコードを残したまま機能のON/OFFを実行時に切り替える仕組み。デプロイとリリースを分離する。
- 依存性注入依存オブジェクトを外から渡す設計手法。差し替え可能にしてテストと疎結合を実現する。
AI・データ
- 機械学習データからパターンを学び、明示的にプログラムせずに予測・判断を行わせる手法の総称。
- コンテキストウィンドウLLMが一度に扱えるトークン量の上限。プロンプト設計とRAGの前提条件。
- トークンLLMが文章を扱う最小単位。料金・コンテキスト長・生成速度はすべてトークン数で数えられる。
- ニューラルネットワーク脳の神経回路を模した層状の計算モデル。深層学習の基盤で、画像・音声・言語処理を支える。
- ハルシネーションLLMがもっともらしい誤情報を生成する現象。生成AI活用の最大の落とし穴。
- プロンプトエンジニアリングLLMへの指示文を設計し、モデルを再訓練せずに出力の質と形式を制御する技術。
- マルチモーダルテキスト・画像・音声など複数の様式を扱うAI。入出力の壁を越えるモデル。
- 大規模言語モデル膨大なテキストで訓練され、続きを予測することで文章の理解・生成を行う巨大なモデル。
- 埋め込み言葉や画像を「意味の近さが距離になる」数値ベクトルへ変換する技術。意味検索やRAGの核。
- AIエージェントLLMが自律的にツールを使い、目標達成まで行動を繰り返す仕組み。
- Function CallingLLMが構造化された形式で外部関数の呼び出しを指示する仕組み。
- MCPLLMと外部ツール・データ源をつなぐ標準プロトコル。AI連携のUSB-C。
- MLOps機械学習モデルの開発から運用までを継続的に回す実践。DevOpsのML版。
- RAG外部知識を検索してLLMに渡し、学習データにない情報や最新情報に基づいて回答させる構成。
- RLHF人間の評価を報酬にLLMの応答を望ましい方向へ調整する学習手法。
- Transformer自己注意機構で系列全体の関係を並列に捉えるモデル構造。LLMをはじめ現代AIの土台。
- ファインチューニング学習済みモデルに追加データで再訓練を施し、特定の口調・形式・領域へ適応させる手法。
- 拡散モデルノイズ除去の逆過程を学習して画像などを生成するモデル。画像生成AIの中核。
- 量子化モデルの重みを低精度の数値に変換して軽量化する技術。ローカルLLMの立役者。