記述統計●●○○○

相関

Correlationそうかん

2つの変数が連動して動く度合いを-1から1の係数で表す考え方

概要

相関は、2つの変数が「連動して動く度合い」を表す考え方です。身長が高い人ほど体重も重い傾向がある、気温が上がるほどアイスの売上が伸びる — このような「片方が大きいとき、もう片方も大きい(または小さい)」という関係の強さを、−1から+1のひとつの数値(相関係数)に要約します。

相関係数が +1 に近いほど「一方が増えると他方も増える」直線的な関係が強く(正の相関)、−1 に近いほど「一方が増えると他方が減る」関係が強い(負の相関)ことを意味します。0 付近なら直線的な連動はほぼ見られません。データ分析の現場では、本格的なモデルを作る前に「どの変数とどの変数が関係していそうか」の当たりをつける最初の道具として、日常的に使われています。

ただし相関はあくまで「連動のパターン」を測るだけで、「なぜ連動するのか」には何も答えません。この限界を理解して使うことが、相関という道具を使いこなす上での最重要ポイントです。

なぜ生まれたか

代表値分散と標準偏差は、あくまで1つの変数を要約する道具です。しかし現実の問いの多くは「親の身長と子の身長は関係するのか」「勉強時間と成績は結びつくのか」のように、2つの量の関係を扱います。関係の有無を散布図から目分量で判断するのではなく、誰が計算しても同じになる数値にしたい — この課題に応えたのが19世紀末のフランシス・ゴルトンと、その定式化を完成させたカール・ピアソンです。

ゴルトンは親子の身長の遺伝を研究する中で、2変数の連動を測る方法を模索し、ピアソンがそれを「共分散を標準偏差の積で割る」という形の相関係数(ピアソンの積率相関係数)にまとめ上げました。標準偏差で割って規格化してあるため、身長をcmで測ってもmで測っても係数は変わらず、単位の異なるどんな変数の組でも −1〜+1 の同じものさしで比較できます。この扱いやすさが、相関係数を統計学で最も広く使われる指標のひとつに押し上げました。

詳細

計算の考え方

相関係数の中身は、2変数版の分散である「共分散」です。各データ点について「xの平均からのずれ × yの平均からのずれ」を計算して平均します。xが平均より大きいときyも平均より大きい(ずれの符号が揃う)データが多ければ共分散はプラスに、符号が逆になるデータが多ければマイナスになります。ただし共分散は単位に依存してしまうので、xとyそれぞれの標準偏差で割って −1〜+1 に規格化したものが相関係数 r です。

散布図とセットで読む

相関係数は必ず散布図と一緒に見ます。同じ r = 0.8 でも、素直な直線的関係なのか、1個の外れ値が係数を吊り上げているだけなのかは、数値だけでは区別できないからです。

正の相関r が +1 に近い負の相関r が −1 に近い無相関r がほぼ 0曲線的関係関係はあるのに r は 0 近く相関係数が測れるのは「直線的な」連動だけ — 数値と散布図は必ずセットで見る
相関係数と散布図の対応 — 右端のような曲線的関係は、強く結びついていても r はゼロに近くなる

図の右端が重要な注意点です。相関係数が測るのは「直線的な」連動だけなので、U字型のようなはっきりした関係があっても r はゼロに近くなります。相関係数が低いからといって「関係がない」とは言えないのです。

相関は因果ではない

相関を扱う上で最大の落とし穴が「相関関係と因果関係の混同」です。アイスの売上と水難事故の件数には強い正の相関がありますが、アイスが事故を起こすわけではありません。両方の背後に「気温」という共通の要因(交絡因子)があるだけです。このように、相関は「AとBが連動している」ことしか教えてくれず、「AがBを引き起こす」のか「BがAを引き起こす」のか「第三の要因Cが両方を動かしている」のか、それとも単なる偶然なのかは区別できません。

因果を主張するには、相関に加えて、時間的な前後関係や、条件を統制した実験・分析が必要です。相関係数が高いだけのグラフを根拠に因果を語る言説は世の中にあふれており、「相関は因果ではない」はデータリテラシーの合言葉になっています。

実務での位置づけ

実務では、相関は探索的分析の入口です。多数の変数の相関係数を一覧にした相関行列を眺めて有望な変数の組を見つけ、その先で回帰分析によって「xからyをどれだけ予測できるか」を定量化する、という流れが定番です。回帰分析の当てはまりの良さを表す決定係数は、単回帰では相関係数の2乗に一致し、両者は地続きの関係にあります。また、見つけた相関が偶然のばらつきで説明できないかどうかは、母集団と標本の考え方に基づく仮説検定(無相関検定)で確かめます。

なお、外れ値の影響を受けにくい方法として、値そのものではなく順位の相関を測るスピアマンの順位相関係数もあります。分布が大きく歪んでいるデータや順序データでは、こちらが選ばれます。