音と音程●○○○○

音高と音名

Pitch and Note Names ・ おんこうとおんめい

音の高さを周波数で捉え、名前を付けて共有できるようにした約束事

✦ 30秒で試す — 航海同じ1つの音に、国ごとにちがう名前が付いている日本式の「イ」は、ドレミのどの音?予想してみる

概要

音高(ピッチ)とは、音の「高い・低い」のことです。物理的には空気の振動の速さ、つまり周波数(1秒間に何回振動するか。単位はHz)で決まり、振動が速いほど高い音に聞こえます。オーケストラがチューニングで合わせる「ラ」の音は440Hz — 1秒間に440回の振動、と決められています。

音名は、その音高に付けた名前です。「ドレミファソラシ」や「C・D・E・F・G・A・B」がそれにあたり、連続的に無限にある音の高さの中から特定の高さを選び出し、名前で指し示せるようにした約束事です。音楽理論のあらゆる語彙 — 音程も音階も和音も — は、この「音に名前が付いている」ことを出発点にして組み立てられています。

なぜ生まれたか

名前がなかった時代、旋律を伝える手段は口伝、つまり「聴いて真似る」しかありませんでした。中世ヨーロッパの教会では膨大な聖歌をすべて暗記で伝承しており、修道士が全曲を覚えるのに10年かかったといわれます。歌い手が変われば旋律も少しずつ変わってしまい、正確に記録し、遠くの人に伝え、初めての曲を「読んで」歌う手段が求められていました。

これを解決したのが、音の高さに名前と記号を与えることです。11世紀の修道士グイード・ダレッツォは、賛歌の各行の最初の音節「ウト・レ・ミ・ファ・ソル・ラ」を音の高さの名前として使う方法(後の「ドレミ」、階名唱の起源)と、線の上に音を書き取る記譜法(五線譜の前身)を整備しました。音に名前が付いたことで、旋律は「聴いて覚えるもの」から「書いて共有できるもの」に変わった — これは音楽における文字の発明のようなもので、以後の音楽理論はすべてこの土台の上に築かれています。

詳細

幹音と派生音 — 12個の音の名前

現代の西洋音楽では、1オクターブ(周波数が2倍になる範囲)を12個の音高に区切って使います。隣り合う音高の隔たりが半音です。このうち基本となる7つが幹音で、英語式にC・D・E・F・G・A・B(日本式ではハ・ニ・ホ・ヘ・ト・イ・ロ、イタリア式ではド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ)と呼ばれます。ピアノの白鍵がこの7つに対応します。残りの5つは幹音にシャープ(♯: 半音上げる)やフラット(♭: 半音下げる)といった変化記号を付けて表す派生音で、ピアノの黒鍵に対応します。同じ黒鍵をC♯ともD♭とも呼べるように、1つの音高に複数の名前があり得る(異名同音)のもこの体系の特徴です。

C♯D♭D♯E♭F♯G♭G♯A♭A♯B♭CDEFGABドレミファソラシ約261.6Hz440Hz が基準白鍵 7 + 黒鍵 5 = 1オクターブに12の音高
1オクターブ分の鍵盤と音名 — 白鍵7つの幹音と黒鍵5つの派生音で12の音高を区別する

音名を支える3つの約束事

音名が「同じ高さを同じ名前で呼べる」共通言語として働くには、いくつかの約束事が必要です。どれも独立した語彙として詳しく扱っているので、ここでは全体の位置関係だけを押さえます。

1つめは**オクターブです。周波数がちょうど2倍の音は、高さが違うのに「同じ音」に聞こえます。だから音名は7つ(派生音を含めて12個)の名前がオクターブごとに循環し、区別が必要なときだけ「C4」「A4」のようにオクターブ番号を添えます。C4がピアノ中央のドです。2つめは基準の高さで、「A4 = 440Hz」のように1つの音の周波数を決めておくと、すべての音名の高さが決まります(標準ピッチ)。3つめはオクターブの区切り方**です。純粋な整数比(純正律)を優先するか、どの調でも同じように弾けることを優先するかで区切り方が変わり、現代の標準はオクターブを均等な比で12分割する十二平均律です。

最後に、「ドレミ」には2つの使い方があることにも注意が必要です。ド=Cのように絶対的な高さを指す音名としての使い方(固定ド)と、ド=その調の主音のように音階の中での役割を指す階名としての使い方(移動ド)です。この区別は階名唱で詳しく扱います。この記事で「音名」と言うときは、常に前者の絶対的な高さの名前を指しています。

音名が支えるもの

音に名前が付いたことで、2つの音の隔たりを「CからGまで」のように測れるようになり(音程)、使う音の一覧を「C・D・E・F・G・A・B」のように列挙できるようになり(音階)、同時に鳴らす組み合わせを「C・E・G」のように指定できるようになりました(和音)。バンドの現場で「キーはGで」「ここはAマイナー」と一言で通じるのも、すべて音名という共通言語があるからです。音楽理論の学習は、この小さな約束事から始まります。

試問

同じ音には、ドレミ(イタリア式)、C・D・E(英語式)、イ・ロ・ハ(日本式)という呼び方と、周波数(空気が1秒にふるえる回数、Hz)という表し方があります。基準の音は、440Hz のラです。下の8枚のカードを、指している音の名前ごとの箱に入れてください。項目を押してから箱を押すと入ります。

✦ 命題挑戦中

8つの呼び方・表し方を、それが指す音(ド・ラ・シ)ごとに仕分けよ

ドピアノ中央あたりのド
ラ基準の音と同じ名前
シドのすぐ下の音

項目を選んでから、入れる箱を選びます